FXトレードを行うと必ず目にする単語が『pips(ピップス)』です。
初心者にとっては「pipsとは何のことだろう?」と不思議に感じるでしょうし、ある程度トレードに慣れてきた人も「なんとなく分かるけれど、実は詳しいことは分かっていない」というケースもあるでしょう。
そこで今回はpipsの計算方法、見方などを詳しく解説していきます。
この記事を読めばpipsのことを深く理解でき、これからのFXトレードにさらに役立てられるようになるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
pipsとは通貨の値動きの単位を表す言葉
pip(ピップ)は『percentage in point』の略字で、pips(ピップス)はこれの複数形になります。
FXは日本円や米ドル、ユーロ、ポンド…といった様々な通貨が取引されており、これが常に変動し続けていますよね。
本来なら「日本円が〇〇銭変動した」「米ドルが〇〇セント変動した」と表現するのですが、通貨単位がバラバラだと分かりにくく、面倒です。
そこでpipsを用いることで、どの通貨単位でも共通の変動幅を表現できるようになっている、という仕組みとなります。
1pipが表す金額は通貨ペアによって異なる【見方や計算方法は?】
私達日本人トレーダーにとって標準通貨となっているのは日本円ですよね。
そのため1pip=何円なのかを知っておかなくてはなりません。
この1pipは通貨ペアによって表す金額が異なります。
詳しくは下の表のとおりです。
クロス円 (米ドル円、ユーロ円など通貨ペアの右側が日本円) |
1pip=0.01円(1銭) |
---|---|
ドルストレート (ユーロドル、ポンドドルなど通貨ペアの右側が米ドル) |
1pip=0.0001ドル(0.01セント) |
これを踏まえると、クロス円は「小数点第二位の数値」を見て、ドルストレートは「小数点第四位の数値」を見ればpipsが分かります。
【クロス円の例】
米ドル円のレートが100.000円→100.050円に上がると、5pips上昇したことになります。
5pips=0.05円(5銭)
【ドルストレートの例】
ユーロドルのレートが1.15000ドル→1.15050ドルに上がると、5pips上昇したことになります。
5pips=0.0005ドル(0.05セント)
仮に1ドル=100円なら、0.0005ドル=0.05円(5銭)の日本円の価値がある計算となります。
pipsはスプレッドの単位としても用いられる
FXトレードは取引時にスプレッドが発生し、FX業者の手数料(利益)として支払わなければなりません。
スプレッドは買値と売値の差なので、スプレッドが小さいほど取引コストを安く抑えられ、トレーダーにとって有利となります。
FX業者が米ドル円のスプレッドを1pipsで提示しているなら「1ドルにつき1pips(0.01円=1銭)の手数料がかかる」という意味です。
仮に1ロット(10万通貨)を取引すると10万pipsのスプレッドになり、10万pips×0.01円=1,000円の手数料を支払うことになります。
「FX業者を選ぶときはスプレッドが重要」と言われているのは、取引で発生する手数料に大きな違いが生まれるからなんですね!
例えば、スプレッド1pipsのA社と0.5pipsのB社の2社があるとしましょう。
それぞれの手数料をまとめると
ロット数 | 1ロット | 10ロット | 50ロット | 100ロット |
---|---|---|---|---|
A社(1pips) | 1,000円 | 10,000円 | 50,000円 | 100,000円 |
B社(0.5pips) | 500円 | 5,000円 | 25,000円 | 50,000円 |
取引数が増えるほど手数料の開きが大きくなっていくことが分かります。
なお1ロットの単位はFX業者で異なりますが、海外FX業者だと1ロット=10万通貨に設定されていることがほとんどです。
pipsの活用方法をチェックしてみよう
pipsの概要が分かったところで、次は実践で役立つ活用方法について紹介していきます。
まずは次の3つを計算できるように覚えておきましょう。
- 獲得pipsの計算
- クロス円の損益額の計算
- ドルストレードの損益額の計算
各計算式は次のとおりです。
【獲得pipsの計算方法】
決済売値-新規買値=獲得pips
例:
100.050円-100.000円=0.050円=5pips
【クロス円の場合】
獲得pips×0.01円×取引通貨数=損益額
10pips獲得時の例:
10pips×0.01円×10,000通貨=1,000円
【ドルストレートの場合】
獲得pips×0.0001ドル×取引通貨数×ドル円レート=損益
10pips獲得時の例:
10pips×0.0001ドル×10,000通貨×100.000円=1,000円
pipsを活用して投資効率を算出できる
pipsを活用することにより、投資効率を簡単に算出できるので覚えておくことをおすすめします。
例えば次の2パターンを比較してみましょう。
- 米ドル円100.00円で10,000ドルを買い→100.50円で売り
- 米ドル円100.00円で50,000ドルを買い→100.10円で売り
それぞれの利益を計算すると
- 0.5円×10,000通貨=5,000円の利益
- 0.1円×50,000通貨=5,000円の利益
どちらも5,000円の利益を獲得したことになります。
結果としては同じですが、取引量が異なるのに同じ利益になっている…ということは、投資効率に違いがあるわけです。
しかしこれだけだと投資効率が分かりにくいですよね。
そこでpipsを使います。
- 50pips
- 10pips
1と2で5倍のpipsの開きがあるのが一目瞭然ですね。
仮に1の状況で2と同じ50,000通貨を買っていれば、5倍の利益となる25,000円を獲得でき、投資効率に優れていたこと!
FXトレードは中級者以上になってくると複数のポジション・複数の自動売買使うなど、取引を並行するケースが増えます。
そんなときpipsを活用した投資効率を理解していれば
「このトレードスタイルは投資効率が良いから、もっと取引量を増やそう」
「投資効率がイマイチな自動売買が出てきたから、そろそろポートフォリオを見直そう」
といった戦略を取れるようになりますね。
pipsで損切り値幅を設定するときは慎重に
FXは発注の際に利益確定や損切りの値幅をあらかじめ設定することができます。
例えば「利確:50pips、損切り:30pips」に設定して発注しておけば、そのレートに達したとき自動的に決済してくれるので、ずっとチャートに張り付く必要がなくなりますよね。
しかしpipsで利確や損切りの値幅を設定するのは慎重に行わなくてはなりません。
その理由が取引量によって損益が大きく変動するからです。
仮に1ドル100円のときに「損切り:30pips」で10,000ドル(A)と100,000ドル(B)の取引を行ったとしましょう。
損切りラインが30pipsなので…
00円-0.3円=99.7円
のレートになったら損切り決済が行われることになります。
これを踏まえてAとBの損失額を比較してみましょう。
【Aの場合】
エントリー金額:
00円×10,000ドル=1,000,000円
損切り後:
7円×10,000ドル=997,000円
損失:
3,000円
【Bの場合】
エントリー金額:
00円×100,000ドル=10,000,000円
損切り後:
7円×100,000ドル=9,970,000円
損失:
30,000円
このようにpipsで利益確定・損切り値幅を設定すると、同じpipsでも取引量で利益も損失も大きな違いが出てきてしまいます。
初心者は許容額からpipsを算出しよう
FX初心者は「これくらいまでの損失なら許容できるかな?」という金額を決めて、そこからpipsを計算し、利確・損切りの設定を行うと良いでしょう。
米ドル円を0.1ロット(10,000ドル)買う条件で考えてみます。
【許容額10,000円の場合】
10,000円(許容額)÷10,000ドル(取引量)÷0.01円(1pips)=100pips
【許容額50,000円の場合】
50,000円(許容額)÷10,000ドル(取引量)÷0.01円(1pips)=500pips
続いて米ドル円を1ロット(10万ドル)買う場合だと…
【許容額10,000円の場合】
10,000円(許容額)÷100,000ドル(取引量)÷0.01円(1pips)=10pips
【許容額50,000円の場合】
50,000円(許容額)÷10,0000ドル(取引量)÷0.01円(1pips)=50pips
といった具合です。
最初はいちいち計算するのが面倒かもしれませんが、慣れてくると「大体これくらいかな」と感覚で掴めるようになってきます。
実際の為替レートを見て、何度も取引を繰り返すことで次第に慣れてくるので、どんどんチャレンジしていきましょう!
まとめ
今回はpipsの概要や見方、計算方法、活用方法などを紹介しました。
最後にもう一度内容をおさらいしてみましょう。
- FXのたくさんある通貨の値動きを表す数値が『pips』
- クロス円は1pips=0.01円(1銭)、ドルストレードは1pips=0.0001ドル(0.01セント)
- pipsを使えば投資効率を簡単に把握できる
以上3点が本記事のポイントになります。
「pipsってごちゃごちゃしていて良く分からない…」
「どうやって計算すれば良いの?」
といった人は、ぜひこの記事を参考にして、FX取引で必須のpipsのことをしっかりと理解し、大いに活用してみてくださいね!