レバレッジ規制で最大10倍まで引き下げられた場合の国内FX業界への影響は?
2009年、日本国内でのFX会社が提供するFX取引レバレッジ(証拠金倍率)の規制が、正式に決定しました。これにより2010年8月から最大レバレッジは50倍へ、2011年8月からは25倍へ、2018年(未定だが可能性が高い)には10倍へと規制されます。
今までFXが人気を博してきた大きな理由の1つとして、「証拠金」を担保にする事で元手の何倍もの外貨を取引できるレバレッジ取引が、投資家にとって大変魅力的な存在でした。実際、2010年までの国内各FX会社の設定する最大レバレッジは100倍から200倍あたりが多く、中には600倍以上に設定されている業者も存在しました。
今回のレバレッジ規制観測で、デイトレーダーなどの個人投資家の多くが撤退する可能性が考えられる中、日本国内のFX会社への影響は極めて大きなものであることが予測されます。現実に廃業に追い込まれる会社や、合併を余儀なくされる会社も出てくる事が考えられます。
レバレッジが最大10倍まで下がるとどうなる?
それでは実際に最大レバレッジが10倍まで引き下げられた場合、どのようなことた起こりうるのでしょうか。考えられるリスクを挙げてみたいと思います。
ハイボリュームトレーダーはポジション量を減らす必要に迫られる
レバレッジが下がる=必要証拠金が上がってしまうことを意味します。今まで10倍以上のレバレッジ用いて取引していたトレーダーは、
- 今までより多くの資金をFX口座に入れる
- ポジション量をがっつり減らす
必要に迫られます。
もし仮に最大レバレッジ10倍に引き下げられることが正式に決定しても事前告知と準備期間無しですぐにレバレッジが下げられるわけではないです。
例えを1つ持ち出すと、現在フルレバに近い状態で損切りしていいいか右往左往したあげく両建てしてなんとか片方がプラスになるような状況が来るまで放置して、あわよくば両建て分どちらもプラス決済で終わらせたいと考えている塩漬け状態の人は危険です。
損切りの決断から逃避して精神の安定を図る作戦を採用している場合、レバ10倍の日までに証拠金維持率が100%をやや上回るまで入金しないと、泣く泣く両建てを強制決済か自分でポジを縮小するはめになります。
顧客が海外へ逃避する?
上記で説明したFXレバレッジ規制については賛否両論あるのが実情ですが、すでに正式に決定してしまったため覆る可能性はほぼ無いでしょう。そんな中、最近海外FXへの注目が集まっています。海外のFX業者には当然のことながら、日本の規制は及びません。
つまり海外のFX会社を利用すれば、以前のように100倍以上のレバレッジをかけて取引することが今後も可能です。そのため、スキャルピングやデイトレードなどの、高レバレッジの方が旨みのある短期トレードをメインにしている個人投資家などは海外FXへ目を向け始めています。
また、間接的な理由となりますが、レバレッジ規制により国内FX業者が打撃を受けた場合の倒産リスクなども考えなければいけません。国内のFXから顧客が離れ、海外のFXへ流入して行けば、自然と海外FX業者の方が倒産のリスクが少なくなると言えるでしょう。
一律10倍に引き下げられるのは乱暴?
スイスフランが為替介入を停止した時のストップロスが無視されるほどの短時間大変動のような強制決済後、口座残高のマイナス金額、追証のダメージは減るでしょう。
設定したストップロスを大幅に超過して大損を引き起こしたと仮定してもレバが25倍から半分以下になっているので、建てられるポジションが少ないからです。
また、GBP/JPYのように特別な事情が無くても大事件が発生するとストップロス注文が成約しなくなりやすい通貨ペア、ZAR/JPYのように滅茶苦茶な常軌を逸したスプレッドの拡大を引き起こした過去の事例などへの対策としてレバレッジを10倍に引き下げる事も乱暴、大きなお世話とばかりは言えないかもしれません。
レバ10倍以上かけた取引が多いハイレバトレーダーは規制が施行されれば取引方法を変えざるを得ない
トレンド発生時にピラミッディングなどで欲張って取れるだけトレンドによる一方的な値動きによるキャピタルゲインを狙う戦法を取っている人達、他にはハイレバでスキャルピングを繰り返して稼いでいる人達も利益がかなり減るでしょう。
取引方法の変更を決断せずに利益が大幅に減っても使い慣れた実績のある取引手法を続ける選択を取る人達も少なくはないでしょう。
トラリピなどをやっている人達も低レバにせず、中レバにしている場合などは追加入金する資金が無い場合トラリピの中止せざるを得ない場合も考えられます。
今後のFX会社選びは海外業者が主流?
ここまでで国内FX会社の倒産リスクなどとちょっと怖い書き方をしましたが、すでに合併の動きなどが出始めています。これから国内でのFX会社選びは信託保全や、取引ツールの充実度が重要になって来ると思います。
そして、良質のサービスを提供する会社が残っていくでしょう。
一方で、海外のFX業者も日本人向けのサービスを展開する会社が多くなってきました。国内のFX業者と海外のFX業者、どちらか一方だけを選ぶ必要は無いので、自分の取引スタイルに合わせてバランスよく会社選びをしていきましょう。