FXの利益に住民税がかかる!納付方法や金額、計算方法を実例を交えて徹底解説

FXで利益を得た場合、住民税を納付しなくてはならないのか、気になる方もいらっしゃるでしょう。

「FXで得た利益にどれくらいの住民税がかかるの?」
「どうやって納付すれば良いの?」

といった声を耳にすることも多いです。

そこで今回は、FXにかかる住民税、確定申告、納付方法などを紹介します。

この記事を読めば、ちゃんと住民税を納められるようになるので、ぜひチェックしてみてください。

そもそも住民税って何のために払うものなの?

所得税とセットで計算されることの多い住民税。

「なんとなく給料から天引きされる税金」くらいに思っている方も多いのではないでしょうか。

住民税は市町村民税、都道府県民税を総称したもので、地方自治体の教育、福祉、行政サービスなどの資金として徴収されています。

要するに、住んでいる地域を支える資金になるのが住民税ですね。

ケース別、住民税の支払い義務

住民税は働き方によって支払う条件・納付義務が異なります。

ここからは次の3つのケースを見てみましょう。

  • 会社員(給与所得者)
  • パート、アルバイト
  • 個人事業主、フリーランス

それでは内容を見ていきましょう。

会社員など給与所得者の場合

会社員は毎月の給料から所得税と住民税が天引きされ、会社が納付してくれます。

そのため、基本的に確定申告を行う必要がなく、全体的に楽。

しかし給与とは別の収入(例えばFXで利益を得るなど)で、年間20万円以上を稼いでいる場合は、確定申告が必要になります。

確定申告をすると、納めるべき住民税が算出されるので、それを支払えばOKです。

パート、アルバイトの場合

給与所得者でない…例えば兼業主婦や学生で、パートやアルバイトなどの収入がある人も、一定額以上の収入(年収100万円以上)があれば、住民税の納税の義務が生じます。

住民税は…

年間総所得-給与所得控除(65万円)-基礎控除(35万円ほど。
自治体で異なる)=課税対象

で計算されます。

つまり、年間100万円を超えた分が住民税の課税対象となる、と考えましょう。

ちなみに所得税は…

年間総所得-給与所得控除(65万円)-基礎控除(38万円)=課税対象

になるため、年収103万円までは所得税がかかりません。

しかし38万円以上の稼ぎがある人は確定申告の義務が生じるので、住民税の支払いがなくても、確定申告を忘れないようにしてください。

個人事業主、フリーランスの場合

専業トレーダーなど、個人事業主やフリーランスは個人で住民税を納めなくてはなりません。

仮に年間収益が赤字だったとしても、確定申告をした方が損をしないので、面倒でも行った方が絶対に良いです。

翌年2月16日~3月15日までの期間に確定申告を行いましょう。

住民税の支払いは6月から一括、または年4回(6月末、8月末、10月末、翌年1月末)で支払います。

住民税と所得税の納付時期が異なるので、支払い忘れが起こらないように注意してくださいね。

住民税を納める方法は「特別徴収」と「普通徴収」の2種類

住民税を納める方法は次の2種類があります。

  • 特別徴収(サラリーマン)
  • 普通徴収(サラリーマン以外)

それぞれ紹介します。

特別徴収は給与所得者向けの住民税納付方法

上述したように、サラリーマンは会社が住民税を天引きして、まとめて納付してくれます。

この納付方式が「特別徴収」です。

会社がやってくれるので、サラリーマンの方々は納付のことを特に考える必要はありません(もちろん金額をチェックすることは大事です!)。

毎年5月の給与支給時期、または6月に「住民税の決定通知書」が勤務先から手渡されるので、それで金額を確認できます。

普通徴収は給与所得者以外が行う納付方法

普通徴収は、個人事業主、フリーランス、公的年金所得者などを対象とした納税方法です。

毎年6月に、市町村から納税通知書と納付書が送付されます。

この納付書を持って、市町村役場、金融機関、コンビニなどで支払えばOKです。

FX取引で得た利益は住民税の支払い義務対象になる!

ここまでに紹介してきたように、サラリーマンだろうと、フリーランスだろうと、FXで一定以上の利益を得た場合、住民税を納付しなくてはなりません。

住民税の支払額は前年1月1日~12月31日までの1年間分の所得に対して決定。

FXの利益は利子所得、配当所得、不動産所得などに当てはまらないので「雑所得」として扱われることになります。

国内FXと海外FXで課税方式が異なる!

それぞれ適用される課税方式は次のとおりです。

国内FX:分離課税
海外FX:総合課税

おおまかに説明すると…

国内FX:FXの利益と給料などの所得を分離して申告できる
海外FX:FXの利益+給与所得+その他の所得の合計に対して課税

国内FXの場合、一律20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得0.315%)が適用されるので分かりやすいです。

しかし海外FXは所得額で税率が変動するため、税率20.315%とは限らないので注意しましょう。

海外FXの所得額と所得税率

上述したように、海外FXは所得額に合わせて税率が変動します。

まとめると次のとおりです。

所得額 税率
195万円以下 5%
195万超~330万円以下 10%
330万超~695万円以下 20%
695万円超~900万円以下 23%
900万円超~1,800万円以下 33%
1,800万円超~4,000万円以下 40%
4,000万円超 45%

海外FXで4,000万円超の利益があっても、所得税で半分近く持っていかれることになります。

基本的に稼ぎが大きいほど税率も大きくなっていく、と覚悟しておきましょう。

住民税の税率

所得税と同じように、住民税もまた「課税所得」に税率をかけて算出します。

課税対象額の計算方法は次のとおり。

年間総所得-給与所得控除(65万円)-基礎控除(35万円ほど。
自治体で異なる)=課税対象額

市区町村民税 課税対象所得額の6%+自治体ごとの均等割
都道府県民税 課税対象所得額の4%+自治体ごとの均等割
住民税合計 課税対象所得額の10%+自治体ごとの均等割

こちらは所得税とは異なり、一律です。

例えば専業トレーダーが年間で200万円の利益を出したとすると…

200万円-65万円-35万円=100万円

100万円に対して、10%+均等割の住民税を支払う、といった具合です。

なので「10万円+a」が納税額になるでしょう。

均等割は、地域社会の費用を均等に負担するためのもので、例えば防災・減災事業に充てられる、といった用途に用いられます。

均等割の金額は各自治体によって異なるので、調べてみてください。

住民税の支払い額をシミュレーションしてみよう!

それでは実際に住民税をどれくらい支払わなくてはならないのか、シミュレーションしてみましょう。

シミュレーション内容は次の2つ。

  • 年間100万円の利益
  • 年間1,000万円の利益

なお今回は控除について考慮しないものとします。

年間100万円の利益がある場合

FXの年間差益が100万円、必要経費に2万円がかかっている場合をモデルケースとします。

国内FXを利用している場合、年間差益の20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)をかければOKです。
分かりやすいですね。

(100万円-2万円)×20.315%=19万9087円

トータルで19万9087円の税金を納める計算になります。

内訳は次のとおりです。

所得税:14万7,000円
住民税:4万9,000円
復興特別所得税:3,087円

海外FXだと所得額に応じて税率が変動するので、少し計算が複雑になります。

所得ごとの税率は前述の表のとおりで、今回は差益100万円のプラスなので、適用される所得税率は5%です。

(100万円-2万円)×5%(所得税)+10%(住民税)+0.315%(復興特別所得税)=15万0,087円

トータル15万0,087円の税金を納めることになります。

内訳は次のとおり。

所得税:4万9,000円
住民税:9万8,000円
復興特別所得税:3,087円

年間1,000万円の利益がある場合

年間差益が1,000万円、必要経費0円で計算してみましょう。

国内FXだと…

1,000万円×20.315%=203万1,500円

になります。

一方の海外FXだと、適用される所得税率が33%になるので…

1,000万円×33%+10%+0.315%=461万5,000円

になります。

内訳は次のとおり。

所得税:330万円
住民税:100万円
復興特別所得税:31万5,000円

このように、利益が大きくなるほど、海外FXの方が税金の支払額が大きくなっていくのが見て取れます。

FXの住民税を納付するために確定申告の準備をしよう!

確定申告をスムーズにすすめるために、次の2点を準備しておきましょう。

  • FXの利益や経費
  • 控除額を証明できる書類

それぞれ説明します。

FXの利益・経費をしっかりと計上しよう!

利益の計算はさほど難しくはないでしょう。

利用しているFX業者によっては、年間でどれくらいの利益・損失があったのかをひと目で分かるようリスト化してくれるところもあります。

問題は経費です。

書籍代やセミナー代などを経費として計上でき、経費が多ければ多いほど総所得を減らせる=節税効果が高まることになります。

そのためレシート、領収書は必ず保管しておくようにしましょう。

控除を証明できる書類をしっかりと揃える!

いくつかの控除を証明できれば、その額を所得から差し引いて確定申告できます。

主な控除は以下の7個。

  • 基礎控除
  • 扶養控除
  • 配偶者控除
  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 誠意名保険料控除

など

控除が多い、増えるほど税金が安くなるので、しっかりとチェックしてみてくださいね。

課税対象の所得額を計算しよう!

上記2点を計算できれば、課税対象となる所得額を計算できます。

総所得+控除額合計=課税対象額

これで確定申告に必要な要素を一通り揃えられました。

そもそもどんな人が確定申告をするの?

確定申告が必要な人は次の2つのうちいずれかに当てはまる場合です。

給与取得がある場合:FX取引で利益が20万円以上ある
給与取得がない場合:1年の総所得(FXだけでなく他の副業も含める)が38万円以上

そのため、FXで利益を上げられなかった人は確定申告しなくても大丈夫です。

しかし国内FXなら「損益通算」ができるため、やっておいた方がお得!

損益通算は、損失分を確定申告しておけば、3年先までに生まれた利益と相殺できる控除制度のことです。

確定申告は多少面倒ではありますが、やることで得られるメリットもあるので、ぜひチャレンジしてみましょう。

確定申告の手順をみてみよう!

確定申告の手順は次の3ステップです。

  1. 必要書類の用意
  2. 必要事項の記入
  3. 提出

それでは各手順をみていきましょう。

必要書類を用意する

準備しておく書類は次の3点です。

  • 確定申告書
  • 給与所得の源泉徴収票(給与所得者)
  • 損益報告書

損益報告書はFX業者が発行してくれるので、そちらを提出すればOKです。

必要事項を記載していく

確定申告書に、収入、控除、経費などを記入していきます。

基本的に申告書を上から順番に埋めていけば大丈夫です。

税務署に提出して終わり!

確定申告書の提出方法は次の3つがあります。

  • 税務署窓口
  • 郵送
  • e-Tax(ネット提出)

オススメなのはe-Taxです。

ICカードリーダーとマイナンバーカードが必要になりますが、自宅のパソコンでパパッと確定申告書の作成&提出ができて本当に便利!

確定申告しなかったらどうなる?

「確定申告をしなくてもバレないだろう」と考える方もいますが、必ずバレるのでやめましょう。

いわゆる「脱税」ですね。

確定申告しなかった場合、次の3つのペナルティを受けることになります。

  • 追加の税金支払(無申告加算税、重加算税、延滞税など)
  • 保険や給与などの差し押さえ
  • 逮捕、起訴

「起訴だなんて大げさな…」という方もいるでしょうが、脱税を告発され、逮捕されて裁判沙汰になるケースは割と珍しい話ではありません。

有名人の脱税はニュースになるので耳にすることもありますが、いち個人のトレーダーでもあり得ることです。

納税は国民の義務なので、FXで利益が出たら、きちんと確定申告をして、住民税を納めましょう。

住民税の支払いが難しい場合は、速やかに「分納」の相談を!

住民税は「前年の収入に対して課税額が決められる」という性質があるため、人によっては住民税を支払うことができないケースも出てきます。

例えば次の2つのケース。

  • 前年はFXの調子が良かったが、今年は調子が悪くて稼ぎが少ない
  • 会社員として働きながらFXをやっていたけれど、専業トレーダーになって思うように稼げない

こういった事情があったとしても、住民税を減額してもらうことはできません。

厳しいようですが「課税の公平(滞納している人が優遇されることはない)」が決められている以上、仕方がないことだと割り切りましょう。

ではどう対処すれば良いのか。

それは「分納」することで、毎月無理のない範囲で支払うしかありません。

最寄りの税務署に、納税通知書を持っていって、担当者に相談しましょう。

「払えないから」と無視してしまうのが一番やってはいけないことです。

まとめ

今回はFXと住民税、確定申告の方法などを紹介しました。

最後にもう一度おさらいすると

  • 国内、海外FX問わず、利益が出たら確定申告して住民税を払わなくてはならない
  • 給与所得者なら年間20万円以上、そうでないなら年間38万円以上の利益で確定申告の義務が生じる
  • 確定申告しないと脱税として扱われ、追加の税金を支払わなくてはならない

の3つが挙げられます。

「FXで利益が出たら住民税を払うの?」
「確定申告をしなかったらどうなる?」

といった方は、ぜひこの記事を参考に、確定申告の準備を進めてみてくださいね。