タックスヘイブン・オフショアとは
タックスヘイブンとは、金融の世界で歴史的・環境的事情により、非居住者・外国人に対して、租税環境を優遇している「国」や自治権を持った「地域」のことをいいます。
“オフショア”も“タックスヘイブン”と同義語で用いられます。(タックスヘブン(税金天国)ではありませんのでご注意ください。)「税制優遇国・租税回避国」と呼ばれる、法律や税制が他国より緩やかな金融特別区なのです。
オフショアの代表的な国としては、香港やシンガポール、マカオ、モナコなどがあり、その他にも世界には日本より税金が安い国が多くあります。
それらの国の銀行や証券会社、FX会社などの海外口座を利用すれば、税制上のメリットを受けられる可能性があるのです。中でもオフショアバンクでは、税制上の優遇や金融商品の豊富さなどメリットが多くあります。
オフショアバンクに置いた資産や、そこを舞台にした投資活動には税金がかからなかったり、低税率であったりするので、巨額の資産を持つファンドや投資家、世界的な金融機関の支店などがタックスヘイブンの場所を利用しているのが現状です。
タックスヘイブンの種類
タックスヘイブンの種類は4つに分類でき、それぞれ免税の方法が異なります。条約を結んだ国や金融業や海運業に対して減税措置を認めることで、国際競争力を高める狙いがあります。
分類 | 特徴と概要 |
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タックス・パラダイス | 課税なし |
ロー・タックス・ヘイブン | 条約締結国に対して低税率を適用 |
タックス・リゾート | 特定業種(銀行などの金融機関)に対して減税または免税 |
タックス・シェルター | 国外源泉所得に対して減税または免税 |
世界の主なタックスヘイブン・租税回避国
タックスヘイブンと呼ばれる国・地域は、資源国でもなければ工業国でもない、産業に乏しい小国や島国が多いです。それらの国々は、法人税率や有価証券に対する税金を大きく引き下げることによって、外資企業や金融機関、資金力のあるヘッジファンド・投資家などを呼び込み、経済を活性化させていこうという政策のもとに生まれています。
▼アメリカ領 |
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▼イギリス領 |
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▼イギリス王室領 |
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▼オランダ領 |
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▼ニュージーランド領 |
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▼その他 |
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日本では、国際競争力の強化や少子高齢化などで国内市場が縮小する流れの中で、タックスヘイブンを利用したいとする法人の需要が高まっています。
法人税が約40%かかる日本よりも、税金が安い国で会社の利益を計上したほうが効率的だという考えが出てくるのは当然のことです。
ただ、タックスヘイブンに設置された営業実体がないような会社の利益を計上するなど脱税の温床として批判されている一面もあります。そういった会社の利益はタックスヘイブン課税により日本の利益として税金を計算する制度も出てきています。
今後のタックスヘイヴンのニーズの高まりと規制の強化の落とし所がどこまで進むかにも配慮しておく必要がありそうです。