FX取引のプラットフォームといえば「MT4」が定番ですが、ここ数年で一気に評価を上げ、絶大な人気を誇る「cTrader」も注目を集めています。
とはいえ日本では一部のトレーダーが愛用しているに過ぎず、まだまだ知名度は低い状態と言わざるを得ません。
「名前を見かけることが増えてきたけれど、どんな感じなんだろう?」
「スキャルピングに適しているらしいけれど本当かな?」
と気になる方もたくさんいらっしゃるでしょう。
そこで今回はcTraderの概要、MT4との違い、メリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
この記事を読めば、cTraderの魅力を知り、MT4より快適な裁量トレードができるようになるので、気になる人はぜひチェックしてみてくださいね。
cTraderとはどんなプラットフォーム?まずは概要をチェック!
cTraderは「Spotware System」というイギリスの会社が開発したプラットフォームです。
最大の特徴は「ECN方式」での取引を前提としたデザイン。
専用として開発されただけあり、ECN取引ではMT4を凌駕するパフォーマンスを誇ります。
その結果、MT4にはない次の4つのメリットを生み出しました。
- 直感的な操作ができる
- リクオートがない
- 板情報を閲覧できる
- 複数ポジションを同時決済できる
これら各メリットの詳細は後述します。
大手海外FX業者は積極的にcTraderを取り入れるところが増えてきていて「Finance Magnates 2018 Awards(イギリス)」で最優秀賞を獲得した実績も!
そんな素晴らしいプラットフォームとして評価されているcTraderですが、王道MT4とは一体何が違うのか…次からは両者の違いについてみていきましょう。
【おさらい】ECNとSTPの違いって何?
cTraderは「ECN方式」の取引となっていますが「ECNとはなんぞや?」という方もいらっしゃるでしょう。
まず海外FX業者の多くが取り扱っている運営方法は「NDD方式(ノーディーリングデスク)」で、ここからさらに2種類の発注方式に分かれています。
- ECN方式
- STP方式
では各方式にはどのような特徴があるのでしょうか。
ECN方式は注文が自動的にマッチングされる
ECN方式は「エレクトロニック・コミュニケーションズ・ネットワーク」の略称です。
個人トレーダーはFX業者を通じて「電子取引所」にアクセスし、直接取引を行います。
参加しているのは個人トレーダーをはじめとした、ファンド、FX業者、銀行、証券会社などで、オークション形式です。
売買の注文がコンピューターによって管理され、合致した注文がマッチングとして成立・約定される仕組み。
売り注文に対して買い注文、あるいは買い注文に対して売り注文があれば即座にマッチするようになっているので、強力な約定力を誇ります。
FX業者はスプレッドに加えて、取引ごとに手数料を発生させることで利益を上げているのですが、それでもSTP方式より狭いスプレッドで取引できるケースが多く、取引コストが低いのが魅力的です。
約定力、スプレッドの狭さがECN方式の魅力といえるでしょう。
またECN方式は板情報をチェックでき、従来の方法である「チャートの推移」以外に、市場参加者の意図を汲み取る材料があるのも有利なポイントです。
ECNに適しているのは次の3つに当てはまるタイプになります。
- ある程度まとまった証拠金を用意できる(初回入金額が高めに設定されていることが多い)
- スキャルピングなど取引頻度が高い(取引コストをできるだけ抑えたい)
- 板情報、気配値、経済指標など瞬間瞬間のチャンスを活かしたい
特にスキャルピングで利益を上げたい人はECNが最適です。
STP方式はFX業者を通じて発注する
STP方式は「ストレート・スルー・プロセッシング」の略称です。
STPはFX業者が金融機関のレートを参照し、スプレッドを上乗せしてトレーダーに提示→トレーダーが業者に注文を出し、1度業者が決済してから金融機関に注文を出す形になります。
つまり…
STP:業者を介して、レートなど分かりやすい状態で取引を行える
ECN:市場参加者を個人投資家まで拡充して取引できる
ということになります。
なおSTPはECNと異なり、取引手数料無料で、取引コストはシンプルにスプレッドのみ、という条件がほとんどです。
ただしスプレッドが広めに設定されているので、コストはやや高くなる傾向にあります。
他にもECNには無い魅力として次の3つがあります。
- 高レバレッジ
- 最小入金額、最小取引通貨が低め
- 手数料無料
これらを考慮すると、次の3つに当てはまる人はSTP方式を選ぶのが良いでしょう。
- FX初心者
- 少ない投資から始めたい
- ハイレバレッジの取引を考えている
スキャルピング以外の取引スタイルを考えているなら、STP方式を選べば無難です。
cTraderとMT4の違いとは?トレードスタイルに合わせた使い分けが肝になる!
上記したように、cTraderは「ECN方式」で取引をするために開発されましたが、MT4はECN専用プラットフォームとして開発されたわけではありません。
この点が両者の違いを生み出しています。
まずは各プラットフォームの特徴・違いを表にまとめて、比較してみましょう。
cTrader | MT4 | |
---|---|---|
取引方式 | ECN | STP、ECN |
使いやすさ | 直感的な操作ができ、裁量トレードに向いている | 慣れるまで多少時間がかかる部分がある |
約定力 | リクオートが無く、抜群の約定力 | 業者によってリクオートが起こることがある |
取引制限 | 無し | 業者によって制限がかかることがある |
板情報 | 閲覧可 | 閲覧不可 |
決済 | 複数ポジションを同時に決済できる | 1つずつポジションを決済しなくてはならない |
自動売買 | 現状はハードルが高い | 盛んに行われている |
インディケータやEAの種類 | とても少ない | 豊富な種類で一般公開されているものが多い |
注目したい点は次の2つです。
- 使い勝手の良さ(約定力、取引制限、板情報、同時決済など)はcTraderの方が圧倒的
- 自動売買やインディケータはMT4が素晴らしい
以上の点から、それぞれのプラットフォームに適しているトレーダーは次のようになります。
cTrader:裁量トレードでスキャルピング、短期トレードをメインにする
MT4:自動売買をメインにトレードする、豊富なインディケータを使用したい
システムトレードを使うのならMT4が現状最強のプラットフォームであることに間違いありません。
しかし裁量取引をメインにするなら、cTraderが絶大な効果を発揮してくれます。
「どちらが優れているのか」ではなく「どのような取引スタイルなのか」によって、各プラットフォームを使い分けるのがベストですね。
cTraderを使う8つのメリットがトレードをより快適なものに!
ここからはcTraderの特徴を踏まえた上で、どのようなメリットが得られるのかを具体的に紹介していきましょう。
メリットとして次の8点が挙げられます。
- 板情報を確認できる
- 複数ポジションを同時決済できる
- ワンクリック注文
- 約定スピードがとても早い
- 約定拒否の心配がない
- スプレッドが狭い
- 日本語対応
- PC以外のデバイスにも対応
それでは各メリットの詳細をみていきましょう。
板情報を閲覧できる
MT4では不可能ですが、cTraderなら板情報をいつでも閲覧することができます。
これはcTraderがインターバンク市場に直接アクセスできるためです。
次の3種の板情報を確認できます。
- VWAP DoM
指定したロット数に対する約定価格をチェックできます。
またそのまま発注することも可能です。
- Standard DoM
リアルタイムの市場の流動性をチェックできます。
どの価格の注文が多いのかをバーで表示しているため、直感的な把握が可能です。
- Price DoM
各価格水準でどれくらいの取引が行われているのかを調べられます。
中央に表示される価格水準に対して、左が売り指値のワンクリックオーダー、右が買い指値のワンクリックオーダーとなり、指定したロットを即時注文可能です。
複数のポジションを同時決済できる
MT4は基本的に同時決済ができません。
実際には、できなくはありませんが、結局1つずつ順番に決済されるので、細かいタイムラグが生じ、これが気になる方も多いでしょう。
cTraderは複数のポジションを同時に決済できるので、タイムラグを気にする必要がありません。
急な相場の変動にも対応しやすくなるので、スキャルピングに適した機能といえるでしょう。
ワンクリック注文にデフォルトで搭載
cTraderがスピード感のある取引に適していると言われる大きな理由の1つが「ワンクリック注文」です。
ワンクリックで次の5種類の注文を行えます。
- 成行注文
- 途転注文(決済と同時に反対方向にエントリー)
- ダブルアップ注文(同じ量を即時注文)
- 全ポジション一括決済
- 通貨ペア別ポジション決済
スキャルピングメインのトレーダーに嬉しい機能が一通り揃っている印象ですね。
約定スピードが圧倒的に早い
cTraderはECN取引を行うため、約定スピードがとても早いです。
感覚としては注文をクリックした瞬間、即約定するレベル。
ただし後述のデメリットで紹介する、市場参加者に約定が左右される面も考慮しなくてはなりません。
約定拒否や取引制限を心配する必要は一切不要
インターバンクから直接レートを持ってくるため、レート操作・約定拒否が起こりえません。
では業者はどうやって利益を出しているのか…といえば、取引ごとに発生する手数料(スプレッドに上乗せ)で儲けています。
となれば、業者によって嫌われることもあるスキャルピングも全く問題なし!
むしろスキャルピングをしてもらった方が業者にとって利益になるレベルです。
ということで、スキャルピングメインの方も安心して取引できます。
スプレッドがとても狭く、コスト面に優れる
cTraderはインターバンクレートに直結しているので、最低0.0pips~とスプレッドがとても狭くなっています。
スプレッドとは別に手数料が発生しますが、STP口座と比べてECN口座の方がトータルコストを安く抑えられる傾向が強いです。
また、スプレッドと手数料を分けることで、透明性・安全な取引環境を保証している点もメリットとして挙げられます。
一例としてaxioryのスプレッドを見てみよう!
cTraderを使える定番のFX業者といえば「axiory」です。
ここでは一例として、axioryのcTrader(ECN口座)のスプレッドを見てみましょう。
通貨ペア | 平均スプレッド(pips) | ※実質スプレッド(pips) |
---|---|---|
米ドル/円 | 0.4 | 1 |
ユーロ/円 | 0.6 | 1.2 |
ポンド/円 | 1.2 | 1.8 |
豪ドル/円 | 0.9 | 1.5 |
カナダドル/円 | 0.9 | 1.5 |
ユーロ/ドル | 0.3 | 0.9 |
※実質スプレッドは手数料0.6pips(往復)を足した数値
とても優秀なスプレッドにまとまっていることがわかります。
手数料は一律で片道0.3pips、往復0.6pipsなので、スプレッドが広くなりがちなマイナー通貨ほどコスト面が優秀になる計算になりますね。
日本語表記に対応で時間表記を日本時間に変更することも可能
cTraderは日本語に対応しているため、英語が不得手な人でも安心して利用することができます。
またMT4にはなかった、チャートの時間変更に対応しているので、日本時間に表記して、快適なトレードを行うことも可能です。
使い続けるほどストレスフリーな作りになっていることを実感できるでしょう。
PCだけでなくスマホやタブレットでも取引ができる
多くの方はPCでトレードを行っていますが「スマホやタブレットで取引したい!」という声がたくさん挙がっているのも事実。
cTraderは専用のアプリ(iOS、Android)を提供しているので、外出先やリビングのソファ、お風呂など場所を選ばず取引ができます。
cTraderを選ぶ上で乗り越えなくてはならない4つのデメリット
メリットがたくさんあり、とても魅力的に感じられるcTraderですが、現在考えられるデメリットに次の3つが挙げられます。
- 導入しているFX業者が少ない
- 自動売買やインディケータに弱い
- 最小入金額が高い
- 市場参加者に左右されることがある
これらを理解せずに手を出すと「こんなはずじゃなかったんだけど…」となりかねないので注意してください。
ここからは各デメリットについて紹介していきます。
cTraderを導入しているFX業者はまだまだ少ない
FXプラットフォームの王道であるMT4を導入している業者はたくさんありますが、残念ながらcTraderは普及しているとは言い難いです。
cTraderに対応する代表的な海外FX業者を挙げると次の3つになります。
- axiory
- Tradeview
- FxPro
ECN口座に対応する海外FX業者は多いのですが、現状はMT4またはMT5を選ぶ形に。
ではcTrader対応各社の簡単なスペックを比較してみましょう。
axiory | Tradeview | FxPro | |
---|---|---|---|
米ドル/円平均スプレッド(pips) | 0.3 | 0.2 | 0.4 |
往復分の取引手数料(pips) | 0.6 | 0.5 | 0.9 |
実質コスト(pips) | 0.9 | 0.7 | 1.3 |
最小入金額 | $200 | $1,000 | $500 |
証拠金維持率 | 20% | 100% | 30% |
スプレッドを重視するなら、Tradeviewに軍配が上がります。
しかしネックとして「最小入金額が高い」「証拠金維持率100%」な点が厳しいと言わざるを得ません。
ある程度の資金力があるならTradeviewを選んで良いでしょうが、総合的に見るとaxioryの方が使いやすく感じられるでしょう。
自動売買は不可能ではないものの、ハードルが高い
MT4の魅力と言えばEA(自動売買)がとても豊富な点にあります。
cTraderにもEA的な立ち位置に「cAlgo」というツールが存在していますが、数が少ない上に日本語解説サイトも少なく、なんとも使いにくいです。
cTraderは裁量トレーダー向けのプラットフォームと評されることが多いのですが、その背景には自動売買の導入が難しいことも要因の1つとして考えられるでしょう。
同様にインディケータも日本語解説はほとんど出回っておらず、導入が難しいです。
とはいえ、MACDやCCIといった基本的なインディケータは標準搭載されているので、人によってはさほど気にならないでしょう。
最小入金額が高いため資金力が求められる
上で紹介したcTrader対応業者の比較表を見てもらえば分かるように、各社とも最小入金額が高めに設定されているのがネックです。
cTraderで高い人気を誇り、使いやすさに定評のあるaxioryでも最小入金額は$200(約22,000円)となっています。
「2,000~3,000円くらいの少額から、まずはお試しで始めてみたい!」
という方もいらっしゃるでしょうが、残念ながらこういった事情があるのでFX初心者には少々ハードルが高め。
「cTraderはFXに慣れている人向けのプラットフォーム」と言われているのは、こういった部分も含まれています。
市場参加者が少ないと売買が成立しない可能性はゼロではない
ECNのデメリットになりますが、cTraderのデメリットにもなりうるので、合わせて紹介しましょう。
ECNはオークション形式の、売り手・買い手の両方がマッチして初めて発注が成立する仕組みとなっています。
そのため、扱う人の多いメジャー通貨ならさほど心配はありませんが、マイナー通貨だと市場参加者が少なく、売買が成立しない可能性が無いとは言い切れない部分も…。
とはいえ実際のところは可能性があるレベルで、あまり心配しなくても特に問題はありません。
まとめ
今回はcTraderの概要、メリット・デメリット、対応業者などを紹介しました。
最後にもう1度ポイントをおさらいしてみましょう。
- 定番MT4よりも直感的かつスピーディーな取引を実現!
- スプレッドが狭く、取引コストを安く抑えやすい!
- スキャルピングなど裁量トレードにベストなプラットフォーム!
の3点が挙げられます。
「MT4の自動売買だけじゃなく、裁量トレードもやってみたい」
「スキャルピングメインの立ち回りに適したプラットフォームを選びたい」
そんな方はこの記事を参考に、cTrader対応業者の口座を開設してみてはいかがでしょうか。